野垂れ死なうが
野垂れ死なうが構はぬ覚悟の夏
常世への憧れなしや野分け近づく
紫外線の世界に住まふ蝶鱗粉舞ふ
手摑みで摑まへし蝶まじまじと視る
鱗粉を残し飛び行く烏揚羽
紫陽花の萼に降り落つ雨粒きらり
紫陽花は色移ろひて普遍暗喩す
出水にて揺れた一日暮れにけり
戸袋の雀の巣にて雛孵り
五月雨を集めて溢れ夏出水
がらんどう哀しみ堪へ紫陽花咲くや
土により色決まる紫陽花薄紅に染まる
吾が視界に冥き影射す五月晴れ
四葩へと思ひ重ねて満足か